「子どもが不登校になったらどうしよう。」と悩む保護者は本当にたくさんいます。ある日突然,「学校に行きたくない。」と子どもが言い始め,理由を聞いていくうちに「あれ?そんな理由?」とそんなことで学校へ行かないなんて・・・戸惑う保護者がたくさんいるのです。確かに今,子どもたちが変わってきています。保護者も不登校経験者という例はめったになく,学校嫌だったけどいかなくてはいけないから通っていたという方がほとんどで,行きたくないから行かないという選択肢が理解できません。ですから,説得したり,叱ったり,いろいろな方法で登校させようとしますが,うまくいかず,笑顔が次第に減っていくわが子を見ると,学校へ行かなくてもいいのではないかと思っていきます。 令和5年度調査で,広島県は小中高と合わせて不登校の数が1万人を超えました。その理由として,保護者の中で学校へ行かなくてもいいという考えが広まって来たからという分析がありました。私は違うと思います。保護者も学校へ行かせたいのです。もっというなら子どもも学校へ行きたいのです。でも不安でいっぱいで体が動かない。というのが現状ではないかと思います。この不登校という現象をどのように受け止め,どのように前向きに進んでいくかが不登校を経験した子どもたちにとって,とても大切なことだと思います。 不登校を経験する子どもの多くは,学力的にも高く,決して勉強がわからないから学校へ行きたくないわけではないのではないかと思っています。それよりも,失敗することがこわくて,できないことが耐えられない子どもが多いのではいかと思っています。これは,失敗を許さない風潮がある現代社会の縮図が子どもたちに影響をあたえているのではないかと考えています。ですから,保護者の経験で対応できることではなく,ましてや,家庭や個別の課題ではないと思えるのです。子どもが弱くなったからだけでは,なんの解決にもならないのです。 不登校を経験している子どもたちに必要なのは,学校へ行けるようになるといった表面的なことではなく,不登校の期間に何を考え,何を得たかなのです。自分の気持ちを理解し,寄り添い,支援してくれる大人に出会うことで,自分の社会に対する適応力を高めることが必要なのです。 不登校は,その子の人生において,いつか必要だった寄り道です。その寄り道で何を考え,人とつながることの幸せや社会で生きることの価値について考えることができれば,それはその後の人生のとても大きな糧となります。 不登校支援センターパルクでは,このような考え方を社会にもっていただきたいと思い,「不登校支援士資格養成研修」を始めました。より多くの不登校支援士が不登校のこどもたちに寄り添い,この寄り道を有意義なものにしてくれると信じています。 |